第58回広島県高校総合体育大会

平成17年6月

団 体 優 勝

【 平成12年以来、2度目の団体優勝 】

光永 ・ 豊岡 ・ 蔦宗 ・ 井上 ・ 木元 

★広島県高等学校総合体育大会兼インターハイ予選(近的)

     (6/4~6/5 県立体育館)

6月4日―。県総体初日の土曜日。午前中にアリーナで総合開会式があり、そのあと、弓道場で弓道競技の開会式が行われた。選手は皆、顔の表情が良く、リラックスした感じであった。人一倍緊張してしまう主将もなごやかな表情で、調子の良さがうかがわれた。

試合が12:40から始まった。今年は女子が先に行われる。出番の遅い崇徳は、いったんタクシーで選手は崇徳へ帰り、崇徳の道場で軽く練習。15:00ごろ再び、タクシーで崇徳から試合会場へ戻ってくる。私は、大会委員長なので、生徒(選手)とは同行できず。すべて生徒を信じて、生徒に任せる。16:00過ぎに、やっと、崇徳の出番がやってくる。最初の試合で、緊張しすぎて失敗することが多かったが、この日は、20射15中と、練習通りの結果を出し、ひとまず安心。予選で上位5位以内に入らないと、決勝戦に進めない。予選でも的中させておかないと次の日が厳しくなる。

6月5日―。朝9:30ごろ崇徳に集合させて、崇徳の道場で軽く練習。昨日と同様、タクシーで試合会場にやって来させる。予選第2回戦は13:00ごろであった。調子があがってきて、20射17中と本大会最高の的中を出し、合計40射32中の予選トップで通過する。

◎団体戦(予選・40射)
 大前 光永 貴明 7中
 二的 豊岡 諭志 7中
 三的 蔦宗 大貴 7中
 落前 井上 拓也 6中
 落   木元 浩晶 5中    合計  32中
【予選トップで決勝リーグ進出】

2位は修道の31中。3位は県工の28中。4位は26中の大門。5位は25中の西農。これら上位5校で、15時過ぎから決勝リーグ戦(総あたり戦)を行った。気力・体力・技術力の三つの総合力に加えて、勝運のあるところが優勝出来る。抽選で順番が決まる。崇徳は前半から飛ばしていき、後半も集中力を切らさないで進めていく戦法をとる。
第1回戦は大門と対戦。始めからリードを保ち、15対12で先ずは1勝する。

◎決勝リーグ戦(上位5校)
第1回戦
○崇徳15中―×大門12中
(光永4中・豊岡4中・蔦宗4中・井上1中・木元2中)

 第2回戦は西農。1本目は4対3。(崇徳が1人外し、西農が2人外す)2本目では、崇徳が1人外し、西農も1人しか外さず。前半が終わり、8対7で1本差。後半の3本目で崇徳が2人外し、西農が1人しか外さず、同中となり追いつかれる。予想以上に強い相手であった。最後の4本目の矢まで、勝敗がもつれる。いよいよ、最後の4本目―。集中力が持続していた崇徳の5人は全員が的中させる。西農は5番目の落ちが外す。もしも、的中させていれば、同中で、競射になるところであった。16対15の僅差で勝つ。

第2回戦

○崇徳16中―×西農15中
(光永4中・豊岡4中・蔦宗3中・井上2中・木元3中)
第3回戦は修道。予選はわずか1本差の2位の相手。春の全国選抜の広島県代表のチームである。強敵である。しかし、やや修道の選手には疲れが感じられ、崇徳がその分やや有利か。結果は、14対12の2本差で勝利する。

第3回戦
○崇徳14中―×修道12中
(光永3中・豊岡2中・蔦宗3中・井上4中・木元2中)

いよいよ、最終戦。県工もここまで3勝0敗で、崇徳と同じ負けなしである。もちろん、勝った方が、全国大会へ行ける。試合直前、どちらも控えの場所で、相手を意識する。気持
ちの上で弱気になった方が不利になる。

射場に入場して、試合が始まる。県工の大応援団・大拍手に圧倒される。内心「これはまずい!」と感じる。その大応援は、崇徳の選手の調子を、大拍手でもって、狂わせようという作戦であった。

県工は、崇徳よりも更に早いペースで、矢を射る「先手必勝法」。

1本目―。気力で勝る崇徳は全員的中させて5中。県工は2人外し、5対3で崇徳有利に始まる。しかし、2本目、エースの「大前」が、県工の大応援・大拍手の影響か、外してしまう。「二的」の放った矢が、当たったのか外れたのか分からないところに矢が刺さり、△の印しの(クエッション)が表示される。前半が終わり、8対7か9対7(△があるので)。後半の3本目から、県工の大応援がさらに激しくなり、大拍手の音で、なにがなにやらよく分からなくなる。また、「大前」が外し、「二的」が外し、「中」も外し、「落ち前」までもが外し、続けて4本外してしまう。目の前が真っ暗になる。

崇徳がミスッタのを見て、県工は、さらに、勢いをつけて、先にどんどん矢を飛ばしていく。県工は4本目の途中まで進み、12中させていた。崇徳は続けて4本外して8中か9中のままで、その数が変わらない。「落ち」がやっと的中させる。そのころは、すでに、県工は、全員が射終えて、14中で、椅子に座って待っている。

崇徳の最後の4本目。「大前」が的中。「二的」が的中。「中」も的中。「落ち前」も的中。「落ち」も的中させて、5人全員が、最後の矢を的中させる。勝敗はどうなっているのか、よく分からなくなっていた。しかし、ただ、最後の矢は、人間力(人格)が備われば、必ず当たると教えてきた。その4本目を、この最も大事な試合で、全員が的中させたことは、何よりも嬉しく、そのことに感動して、監督席に座っていた。

崇徳が射終わって、的前の審判が的まで歩いていき、全員の的中確認をする。「1番的2中。」「2番的 3中。」3中ということは、△はギリギリ、的の一番下のところに刺さっていたのだ。ああ、なんという強運。「3番的 3中。」「4番的 4中。」えーっ。3本目の矢が×の表示であったのだが、それは間違いで、○の的中であったのだ。「5番的 4中。」………県工の的も全部確認する。……静かな時間が、わずかの間流れる。…進行係が正面をむき直し、「以上の結果、崇徳16中、県工14中、よって崇徳の勝ち!」と場内へ、その声が響きわたる。「起立、退場!」と再び進行係が叫ぶ。

第4回戦
○崇徳16中―×県工14中
(光永2中・豊岡3中・蔦宗3中・井上4中・木元4中)
【4勝0敗】

選手が射場をすり足で退場し、控えに戻って来てから、緊張感が、一挙に喜びの涙に変わり、選手全員が、肩をたたき合って、涙を浮かべながら、その勝利の喜びを味わう。「本当に良かった。本当に良かった。」何度も選手に、その喜びを確認し合う。しかし、その横で、うなだれて、流していた県工の選手の涙が、目に入ってくる。勝者と敗者の差は紙一重だが、余りにもその結果は違いすぎる。…だから、勝負は絶対に勝たなければ……。そのためには、「勝運」をつけていくしかないと、再び、強く自分に言い聞かせる。

3年振りの、団体出場の全国大会だ!