第63回国民体育大会(大分市)
10月4日(土)近的競技予選
10月5日(日)遠的競技予選・決勝
10月6日(月)近的競技・決勝
近的競技 第3位
★第63回国民体育大会 弓道競技(10/4~6 大分県佐伯市)
10月2日から公開練習ができるというので、この日に会場入りする。早速、近的の試合会場に行き、本番を想定した練習を開始する。試合会場は思っていたよりも狭く、ちょうど呉市営弓道場に雰囲気が似ていた。やりやすいと思った。4立ち程練習をしてから、遠的練習会場に行ってみた。鳥取県の少年女子チームが練習をしていた。かなり調子が良さそうである。的の中心の赤や黄色に矢が刺さっていた。こちらも少し飛ばしてみる。2立ち程度に練習は抑えて、明日に備えて帰る。
10月3日(金)は明日の近的競技(本番)にあわせて、午前中練習会場で個々の調子を見ながら、3~4立ち行う。他のチームに比べると非常に少ない。その後、本会場で練習をする。この日、遠的の練習はしなかった。近的予選に照準を合わせる。
10月4日(土)6:00に起床し、朝食後6:40に宿舎を出発。7:40に会場に到着し8:00からの開始式に参加した。鈴木三成会長、西嶋泰義佐伯市長の挨拶の後、出場チームの紹介があった。広島県は成年男子、成年女子、少年男子、少年女子と全種別出場(全種別出場できたのはわずか3県であった)。
昨日、練習した通りに10:00ごろからゆっくりとストレッチを行い、素引き、巻藁を行う。他県の選手はかなり練習に熱が入っていたが、我がチームは練習を抑えて臨む。近的予選1回戦は13:00ごろに招集がかかり、控えに入る。控えに入った時から試合は始まる。待つのも試合の一部である。普段からその練習はしてきた。20分は経ったであろうか。いよいよ射場へ入る時間がやってきた。3人はいつもと同じように、静かに椅子から立ち上がり、射場入り口手前で鼎に向き合い、「かけ」を付けた右手を自分の胸に当てる。それから、その右手を前に差し出して、軽くぶつけ合う。瞬間、3人の心が一つになる。その後、呼吸を整えて入場する。
射場に入ると視界が一気に広がる。国体の晴れ舞台に立った。緊張の度合いが幾分か増す。進行係の「始め!」の合図で試合が始まった。
恒 松 矢可 部 相 原 | ○○○○ ○○○× ○○○○ |
【近的競技 予選1回戦 11中】
直前の練習会場では、中りはもう一つの3人だったが、いい結果を出した。3人の、試合に入ってからの集中力は、本当にすばらしい。
直前に行われた広島県少年女子が17中で、決勝進出をかけた競射に残る。が、あと1歩及ばず、敗退する。3人とも顔を手で覆い、涙を流していた。
予選2回戦の招集時間がやってきた。射場に入る。
恒 松 矢可 部 相 原 | ○○○○ ○××○ ○○○× |
【近的競技 予選2回戦 9中】
合計20中の、3位で予選を通過した。1位は22中の山口、2位は21中の鹿児島だった。
15:45から決勝トーナメント抽選会が行われ、1番を引く。私の一番好きな立ち順だ。対戦相手は予選2位の鹿児島。過去、練成大会で何度も対戦してきた相手だ。気心の知れた間柄でもある。鹿児島の監督が私のところへ来て、ポツリ「広島とだけはしたくなかった」と本音を漏らす。この時に「勝てる」と確信した。
10月5日(日)遠的競技が行われた。この日は雨天。時折、激しく降り注ぐ。風も出てきた。練習会場では矢羽をドライヤーで乾かすチームが増える。2立ち程練習してから、遠的の試合会場の控えに入る。そうして、広島の出番がやってきた。忽然と雨音が強くなり、降りしきる雨で視界も悪く、的も見えにくい最悪の天候。
恒 松 矢 可部 相 原 | 3 0 9 10 5 5 3 5 10 0 5 5 | 22点 18点 20点 |
【遠的競技 予選1回戦 60点】
目標の75点には及ばず。ただ、他のチームも雨の影響で点数が伸びてこない。まだ、十分にチャンスがある。続いて2回目の予選に入った。広島が射場に入ろうとすると、また、ザーッと雨が強く降ってきた。
恒 松 矢 可 部 相 原 | 3 5 0 9 3 9 0 7 9 5 0 0 | 17点 19点 15点 |
【遠的競技 予選2回戦 50点】
合計110点と得点が伸びず11位に終わる。予選敗退。予選通過ラインが117点であったことを後で知る。わずか7点足らず。悔いが残る試合であった。
朗報・・近的で予選落ちしたあの鳥取の少年女子が、遠的競技で優勝したという報せが届く。勝運を呼びこみたい。
10月6日(月)近的競技の決勝トーナメントの日。いよいよ日本一まであと3勝である。最初の相手は古豪の鹿児島。
恒 松 矢 可部 相 原 | ○○○○ ○○×○ ○×○○ | ― | 鹿 児 島 | ×○○○ ○○○× ×○×○ |
1本目を全て的中させた広島に対し、鹿児島は大前と落ちの矢が的枠に「カーン」と蹴られ、2本外れる。その差を最後まで保ち、10対8でベスト4入りする。
準決勝の対戦相手は、地元大分を10対6で破った茨城だ。春の選抜で、崇徳が対戦して破れた相手である。インターハイも制した強豪チーム。広島のリベンジなるか。
恒 松 矢 可部 相 原 | ○○○○ ××○○ ○○○○ | ― | 茨 城 | ○○○○ ×○○○ ○○○○ |
1本目の矢可部の矢が的枠に蹴られ、外れる。茨城の中も外し1本目は2対2の同中。お互いが、がっぷり四つに組む。凄まじい緊張感が漂う。しかし、1本目を外して動揺したのか2本目も矢可部は外してしまう。痛恨の1矢である。その後立ち直り、全てを詰めて的中するが、相手茨城も全てを詰める。最後の矢を相原が放ち、的の真ん中に的中させて本座に戻る。間もなくして進行係の「10対11で茨城の勝ち」という大きな声が発せられる。無念の惜敗。リベンジならず。悔しさがこみ上げてくる。
しかし、次の3位決定戦に向けて、すぐに闘う気持ちに切り替えさせる。3位決定戦は一手(6射)である。
恒 松 矢 可部 相 原 | ×○ ○○ ○○ | ― | 長 野 | ○○ ×× ×○ |
恒松が1本目の矢をこの大会で始めて外す。しかし後の、矢可部、相原が的中させ、すぐに逆転する。2本目は全て詰めて「5対3で広島の勝ち!」と進行係の声が聞こえてきた。
その声を聞きながら、しばらく感慨に浸る。振り返って見ると、ここまでの道のりは本当に長い長い道のりであった。半年余り前の4月19日。広島で始まった国体選手選考会。第1次予選から、2次、3次、4次、5次予選を勝ち抜いた3人の選手。更には、夏休みに入ってから死闘を繰り広げたミニ国体。そこで逆転優勝して、本国体に出場。近的予選を突破して、そうしてやってきた今日の決勝トーナメント。準決勝では敗れたが、「半年以上闘ってきたこの国体を『最後に勝って終える』ことが出来たのは、本当に幸せなことではないか」と‥‥。
長い闘いが終わり、どこからか心地よい充実感が沸き上がってきた。