第43回広島県高校弓道新人大会

平成19年11月10日~11日

団体優勝(升屋貴幸・藤井洸太・岸田祥太郎・相原正樹)
個人優勝(相原正樹) 準優勝(藤井洸太)

                                     

◎個人戦

今年度から個人戦の試合方式が変わる。予選を1立(4射)で行い、3中以上が準決勝へ進出できる。崇徳からは以下の12名が出場。

藤井洸太 4中  相原正樹 3中  升屋貴幸 3中  松本光平 3中
岸田祥太郎2中  矢可部俊貴2中  中田和宏 2中  恒松洋吾郎2中
村上大輔 2中  正木敬紘 1中  坂本龍一 1中  高 知弘 1中

以上の結果、崇徳からは藤井・相原・升屋・松本の4名が準決勝へ進出する。

男子の全出場選手304名のうち38名の選手が3中以上し、準決勝(4射)に進んだ。
以下は崇徳の準決勝の結果。

藤井洸太 4中  相原正樹 4中  升屋貴幸 3中  松本光平 0中

38名のうち皆中(4中)したのはわずかに8名。この8名が決勝へと駒を進めること
となった。崇徳は藤井・相原の2名が残った。決勝は射詰め方式。射詰めとは、1本ず
つ矢を放ち、外した選手はそこで終わる。的中させた選手だけが、次に進めるというサ
ドンデス方式である。

いよいよ決勝の第1回戦が始まった。場内は静まりかえり、ここまで勝ち残った選手の
緊張感が伝わってくる。「崇徳はこのサドンデス方式の射詰めを想定して、10月から
1カ月以上にわたり、(1日の練習の最後の仕上げとして)射詰めの練習をしてきた。
二人とも緊張はしているものの、今まで取り組んできた練習の積み重ねが、『勝運』と
なって、必ずや勝利の方向へと向かわせてくれると信じていた。」

進行の「始め!」の合図で決勝が始まった。矢がそれぞれ放たれた。その結果は、4名
が外し、4名が的中させた。その4名の中に藤井と相原は入っていた。残る2名は大門
と市工の選手であった。本座に座っていた8名のうち、外した4名は退場。的中させた
4名は床に置いてある矢を1本右手に持ち、 第2回戦へと進んだ。それぞれが矢を放つ。
藤井・相原は見事に的中させる。しかし、大門、市工の選手は外してしまい、崇徳の2名
だけとなった。外すとその時点で終わってしまう、まさにサドンデス方式の試合である。
残った2名は床の矢を手にして、第3回戦へと進む。
「この時点で、崇徳の全国選抜大会の個人戦出場が決まった。あとは、どちらが、その
切符を手にするかだ。」始めに藤井が矢を放つ。しかし、的から大きく外れる。続いて
相原がゆっくりとした動作の後、鋭く矢を放ったが、これもまたわずかに外してしまう。
両名が外したため、第4回戦へと進む。
場内は静まり返り、二人の動作、二人の矢に全ての視線が注がれる。
「出来れば、二人とも勝たせてやりたいと、監督席で思いながら、二人の動作に目を移す。」
少し早目の動作の藤井の放った矢は、わずかに外れてしまった。続いて相原の放った矢は、
見事に命中する。その瞬間、大きな拍手と歓声があがる。相原が『全国選抜大会』の切符
を手にした瞬間であった。相原も藤井もその目元は赤みを帯び、お互いを称え合っていた。

(以下は決勝に進出した8名の記録)
1、三原の選手 ×
2、美鈴の選手 ×
3、大門の選手 ○×
4、藤井 洸太 ○○××【2位】
5、相原 正樹 ○○×○【優勝】
6、廿西の選手 ×
7、市工の選手 ○×
8、県工の選手 ×


◎団体戦(予選・24射)
大会の第2日目。団体戦の予選の2立目が行われた。
A 大前 升屋 貴幸  5中
  中  藤井 洸太  8中
  落  相原 正樹  7中
         合計  20中

B 大前 岸田祥太郎  5中 
  中  松本 光平  5中
  落  矢可部俊貴  4中
         合計  14中

崇徳は昨日に続いて、調子が良く、Aチームは昨日の1立目と同じ10中を出し、
合計20中と予選をトップで通過した。予選2位に18中の県工、以下16中の
明王台、工大、15中の基町と続いた。崇徳Aの大前の升屋が、予選2立目最後
の3本目4本目の射の「会」が、急に不安定に陥っていたので、思い切って、大
前は岸田に変えて臨むことにした。決勝リーグの立順の抽選で崇徳はCを引く。
これが吉と出るか凶と出るか…などと考えている暇もなく、
決勝リーグ戦が始まった。

◎決勝リーグ戦(上位5校)

第1回戦
○崇徳8中 ― ×基町6中
(岸田2中・藤井3中・相原3中)

大前の岸田は、急に出場が決まったためからか、気負いが感じられ、やや射に堅さ
が見えた。それで、第2回戦は大前を元に戻そうと決め、升屋に変更する。次は、
1回戦で県工を9対7で倒して勢いづい
ている工大であった。

第2回戦
○崇徳8中 ― ×工大5中
(升屋2中・藤井3中・相原3中)

升屋が最初の2本を外し、ひやひやさせられたが、藤井・相原が的中させ、前半を
4中で折り返す。相手の工大が、前半をわずかに1中しかせず、前半でほぼ決まっ
た。しかし、升屋の「会」の不安定さは、この試合でも目立ち、次はまた岸田に戻
すことにした。第3回戦の相手は県工だ。ここまで、県工は2敗している。しかし、
絶対に油断をしてはならない相手である。

第3回戦
○崇徳9中 ― ×県工8中
(岸田2中・藤井4中・相原3中)

前半、県工が3中、崇徳が4中で1本リード。後半はお互い1本しか外さず5中。
前半の1本のリードを守りきって僅差で勝つ。
ここまで、3勝0敗。次の最後の試合に勝てば、優勝である。それは皆、十分過ぎ
るほど分かっている。控えで、3人を正座させ、静かに瞑想させて落ち着かせる。
対する明王台は、先勝ムードを作ろうとしているのか、作戦なのか?大笑いをして
いる。明王台はここまで1勝1敗。崇徳に勝たなければ、優勝はない。いよいよ、
決戦が始まった。

第4回戦

1本目、一気に明王台が、畳みかけて矢を放つ。放った矢はパン!パン!パン!
○○○と全てが的中。奇襲攻撃が成功し横皆中(よこかいちゅう)する。対する崇
徳はいつもの試合運びで進める。しかし、相手の奇襲攻撃にやや動揺したのか、大
前の岸田がわずかに2時の方向に外す。その後の、藤井も外してしまう。落の相原
は何とか的中。××○。しかし、1本目で1対3と2本差のビハインド。非常に不
利なスタートとなってしまった。2本目は、今度は崇徳がパン!パン!パン!○○○
と全て的中させ、相手にプレッシャーを与える。明王台は1本外し○○×、4対5と
1本差にまで詰め寄る。いよいよ後半戦である。
逆転をかけた後半戦の最も大事な最初の1本目を、岸田が外してしまう。藤井は的
中させたが、相原も外してしまう。崇徳×○×。明王台は×○○とまた、2本の差
に広がる。最後の4本目の矢は崇徳×○○。明王台は○○×。結局、最初の2本差
が響き、7対9で負けてしまう。3勝1敗となってしまった。

×崇徳7中 ― ○明王台9中
(岸田1中・藤井3中・相原3中)

あとは、2勝1敗となった明王台が、最後の試合の4回戦で、10中以上で勝てば、
明王台の優勝。9中で勝てば、競射。8中以下なら崇徳の優勝。(勝敗が同じ場合
は、総的中数で勝敗が決まる。)果たして、最後の試合のその結果は‥‥。明王台は
勝って(3勝1敗で)崇徳と並んだが、6中という低い的中に終わった。この瞬間、
個人戦に続いて、団体戦も崇徳の全国選抜大会の出場が決まった。まさしく『勝運』
が崇徳を優勝に導いてくれた。
団体出場は平成10年から数えて9年振り2度目の出場である。そして県新人戦は
初優勝であった。奥の控えでずっと待っていた選手は、この報せを聞き大歓喜する。
さらには、みんなに大感謝。

【団体戦 優勝 全国選抜出場権獲得】

女子優勝・沼田高校  男子優勝・崇徳高校