2009近畿まほろば総体 第4話

◆7月29日(水)7時00分

朝食を取り、8時過ぎにホテルを出発。今日は、団体予選が9:00から、個人予選が15:00から行われる。午前中は出来るだけ広島県やその他関係のあるチームを応援して、昼から練習に入ろうと佐々木、隅田に伝える。今年は女子が先で、沼田の立順は42番で11時40分ごろに行われた。女子団体予選が終わった段階で、30分程遅れる。男子の広島工業は32番で13時30分ごろとなった




女子の予選通過ラインは11中競射となった。11中は12校あり、その中から7校が決勝に進出出来た。岡山県の興陽はその11中の競射で敗退してしまった。
中国地方は高森15中、出雲15中、鳥取西15中、沼田13中の4校が、決勝トーナメントへ進出した。
一方、男子の予選通過ラインは12中競射。12中は7校あり、うち6校が決勝に進出。
中国地方は広島工業17中、米子工業14中、宇部中央12中の3校が、決勝トーナメントへ進出した。出雲工業、津山工業は予選で敗退する。

今日の昼はコンビニで弁当を買ってきて食べる。12時から活動を開始。巻藁場に行き、巻藁で調整。その後、仮設に移動して的前練習を行う。会に入ってから、右足が滑るのは直らない。しかし、会に入ってから動いていた矢先は、ほとんど動かなくなった。なんとか間に合いそうだと思いながら、時間がきたので招集場所へ移動した。

招集場所ではドライヤーを使って、佐々木の「かけ」を入念に乾かす。ドライヤーは夏場の必需品である。間もなくして「第4控え」に進み、以降は公開練習の時と同じく移動をし、射場へと進んだ。
いよいよ個人予選の佐々木の立ちがやって来た。

                 *審判席に座っているのは「住本広島県委員長」

個人予選は3中以上が、準決勝に進出できる。
立順87番の佐々木の予選は[○○×○]の3中を出し、準決勝進出を決める。落ち着いて行射をし、3本目は外したものの、最後の4本目を見事に的中させる。公開練習の時よりも、調子は上向きである。(仮設で、体配・射形について、いくつか指導する。その結果、改善されたことが、写真からも伺える)
広島工業の齋藤選手も[○○×○]3中を出し、女子の広島工業の田口選手も[×○○○]3中を出し通過する。

しかし、
『神辺旭』の石原選手は[×××○]1中に終わり、予選で姿を消すことになった。

昨日、石原選手にこんな話しをした。
  おそらく、この大会が高校生活最後の大会になるでしょう。
  だったら、結果はどうであれ、最後の矢は的中させて、終わりたいね。
  高校生活の最後の矢は「×」では無く、「○」で終えたいね。
  有終の美を飾って、笑顔で次のスタートを切りたいね。
と。
個人予選で、石原選手は、「×××」と3本続けて外す。すでに、この時点で予選敗退が決定した。
しかし、最後の4本目は、昨日の私の話しを思い出して、きっと祈りを込めて、矢を離したに違いない。

見事、「パーン」と、最後の矢を的に的中させて、有終の美を飾る音を場内に響かせた。




◆7月30日(木)7時00分

朝食を取り、今朝も8時過ぎにホテルを出発。今日は、9:00から団体決勝トーナメント1回
戦が始まる。その後に14:00から個人の準決勝、更に15:10から個人決勝が行われる。
女子団体の沼田は群馬県の伊勢崎清明と対戦。男子団体の広島工業は宇部中央と対戦。
沼田は開始から6試合目の9:40ごろに始まった。



沼田は前半6対7とリードされていたが、後半に入って9中し、逆転。15対14の1本差で、2回戦進出を決めた。

一方、男子の広島工業。予選で17中を出し、予選を2位で通過。会場入りしてから調子を上げてきた。しかし、今日の宇部中央との1回戦では14対11で、まさかの敗退。ここで姿を消してしまった。

我々は、早めに昼食を取り、12時から活動を開始する。巻藁から仮設に移動し最後の調整をしていく。会に入ってから矢先は動かなくなり、上体も真っ直ぐに上下に伸び、離れも鋭さが出てきた。仕上がりは上々である。いよいよ準決勝の時間がやってきた。

★個人戦は(各県2名が出場)96名が予選に出場。うち準決勝に進出できたのは、女子が43名、男子が50名であった。



★佐々木の4本の矢は[○○○○]と、ほとんど的中心に的中する。射形も安定し、離れも鋭く、迷いがない様子であった。
普段は、終わってから余り表情を出さない佐々木であるが、今回は自分でも納得のいく射ができたのであろう、笑みを浮かべて応えてくれた。これから、いよいよ決勝に進出する。


広島工業の斎藤選手は2中と振るわずここで姿を消す。

女子の田口選手は3中を出し、決勝進出を決めた。
田口選手(広島工業)
        

★個人決勝は最初に女子が行われ12射連続的中させた鹿児島玉龍の選手が優勝する。
★第2位に11射連続的中させた高森の岡田選手が入る。集中力が切れなかった。

岡田選手(高森)
        

女子の個人決勝が1時間以上かかった。

★いよいよ男子の個人決勝が始まった。選手は32名に絞られていた。

★決勝1回戦、佐々木は見事的中させる。
しかし、準決勝の時のような鋭い離れは見られず。明らかに調子が落ちている。もともと不器用で体の硬い佐々木にとって、この1時間の休憩がどこかを狂わせてしまったようだ。
この1回戦で、5人が脱落し、27名が2回戦に進んだ。

★決勝2回戦、調子の余り良くない佐々木であったが、的中させる。
2回戦で6人が脱落。21名が3回戦に進む。

★決勝3回戦も佐々木は的中させる。この3回戦で4名が脱落。残る17名が4回戦に進む。

★決勝4回戦。佐々木はいつものように打ち起こし、矢を引き込み会に入る。狙いを定めて放たれた矢は、真っ直ぐに的に向かって飛んでいったが、12時に外れる。わずか1センチ枠の外側に。

射場から退場し、控えに戻り、佐々木と顔を合わせる。しばし、言葉が浮かんでこなかったが、残念な気持ちと、ここまで来れたという満足感と半々の気持ちが交錯してきた。
外では、隅田が待っていてくれて、佐々木の健闘(全国ベスト17)を称えた。佐々木自身も、決勝が始まるまでの1時間の調整の仕方に悔いが残ったものの、ここまで戦うことができたことへの達成感はあった。
全国大会という大舞台で戦ったその経験は、次のステップ(ミニ国体)を越える良き教訓となったことは間違いない。
照準は次の戦いに向きつつある。



◆7月31日(金)7時00分

インターハイ最後の朝食を取り、今朝も8時過ぎにホテルを出発。今日は、沼田の応援に会場へ足を運ぶ。
決勝トーナメント2回戦は和歌山県の紀央館と対戦し、17対9で圧勝。
準々決勝は愛媛県の新田高校と対戦し15対14で勝ち進む。

準決勝は埼玉県の東京農大三校。
東京農大三校は、以前、崇徳が秀岳館に遠征した際、ともに練習試合をしたことのある学校だ。関東の強豪校の一つ。今回は、スクールカラーの緑のTシャツを着た保護者・生徒の大応援団がインターハイの会場を埋める。緑のTシャツの集団からは「全国制覇するんだ!」という意気込みが感じられた。
結果は15対12で東農大三が勝ち、沼田は敗れる。続く3位決定戦でも敗れる。

選手は涙で顔をくしゃくしゃにしていたが、「全国大会で流せる涙は『最高の涙』だ!!」
春の全国選抜3位に続き、4位の連続入賞は立派な成績である。


我々は、沼田のベスト4を見届けて、一路広島へと電車に飛び乗る。

休む間もなく、翌日の8月1日からは、ミニ国体に向けた強化合宿と1年生指導が待っている。
近鉄・「特急」車内