秀岳館(啓道館)遠征記(平成19年2月10日〜12日

                    
崇徳高校 弓道部 笠岡博範




秀岳館高校弓道部遠征の目的は、競技力向上はもちろんのことだが、

それ以上に、弓道の「道」を真剣に「啓
(ひら)」こうとするその秀岳館弓道部員の姿を通して

「部活動」のあり方を学ぶところにあった。

この度は、″夜明け前 ″の秀岳館の弓道部員の活動の中で、

特に印象に残った一場面に 触れて ″夜明け前の「足 音」 ″と題して一筆。



            ″夜明け前の「足 音」 ″           

弓道場は、もの靜かに歩くところという常識を打ち破る ″夜明け前 ″の光景――。

女の子が、道場を走りまわっている。

特に一人の女の子が、「タンタンタンタン」と足音高らかに道場を行ったり来たり、

モップの柄を手にして何度も往復する。

その「タンタンタンタン」という足音が、薄暗い周囲に響き渡る。

なんと、心地よい響き。

その響き渡る足音が周囲に木霊(こだま)し、その足音に合わせるがごとく、

それぞれが、ほうきで掃き、ぞうきんで机を拭き、安土を整備し始める。

「タンタンタンタン」という足音が「皆を、動かし活(い)かす」・・・。

掃除が進み、安土の整備が終わる頃、あたりも明るくなり、夜が明ける。

あの、女の子の道場を駆けまわる「タンタンタンタン」という足音は、

もしかしたら、啓道館
(けいどうかん)の暁鐘(ぎょうしょう)なのかもしれない。

この「暁鐘」の意味を辞書で引いてみると、「夜明けを知らせる鐘」の他に

「世の人の迷いを覚まさせるような事件の意にも用いられる」とある。

「事件」は少し大げさだが、「迷いを覚まさせる」は「啓道」に近い意味ではないか。

そう考えると、あの「タンタンタンタン」という心地よい響きは、

「みんなぁ――、 

癖で悩んでいる人も――、離れで悩んでいる人も――、その他いろいろ迷っている人も――、

今日も一日、悩み、迷いから目を覚まして、

弓道の『道』を一歩でも前に『啓
(ひら)』いていこう――!」

という ″励ましの足音 ″にも聞こえてきた。
                                                      









一人の女の子が、「タンタンタンタン」と足音高らかに道場を行ったり来たり








                  



「毎朝の安土







の整備」











「タンタンタンタン」








崇コの選手





秀岳館の選手










皆実の選手